版画工房を立ち上げたのは
とにかく版画の裾野を広げたかったからです。
特に、版画家以外のアーティストの方に
版画の可能性を実感して欲しいと思いました。
版画は絵画の複製くらいに思っておられる方がまだまだ多いのです。
版画は一つの独立した表現メディアです。
そこには版画にしかできない表現があります。
実際に版画制作を体験すると
絵画制作とは全く違ったアプローチの必要性を感じるはずです。
単に複数制の問題だけでは片付けられない版画の必然性があります。
70年代に多くの現代美術の作家たちが版画を出発点に
美術界に登場したり、版画を通して表現の幅を広げた事実があります。
版画の魅力は作家の感性やコンセプトを整理させ
表現にプロセスという、数式を導き出させます。
版画という必然性を獲得した時
作家の新たな魅力が必ず見出されます。
■写真はパリのボー版画工房